今回のテーマは、デザイナーの方にとっては「当たり前では?」と思える内容かもしれません。しかし、畑違いの私にとっては多くの発見があったというお話です。
趣味でホームページを制作・運用した経験があったため、ホームページの開設は学習コストをあまりかけずに進めることができました。
しかし、デザインに関しては全くの素人で、印刷会社に入稿するため(ai形式での入稿)にAdobe Creative Cloudを契約し、IllustratorとPhotoshopを購入して手探りで制作を始めることになりました。

以前、ボードゲームを制作した際にもIllustratorが必要になり、そのときはWindows XP時代の買い切り製品であるIllustrator CS5をなんとか使いこなして乗り切りました。
禁則処理とその対応

日本語として読むことはできますが、「。」だけが行をまたいでしまっており見た目が良くありません。正確には「読みにくい」というより、“美しくない”という表現がしっくりくるかもしれません。
このように、句読点や末尾の文字の一部が改行される現象を解決する作業を禁則処理といいます。
これ以外にも行頭禁則文字、行末禁則文字、分離禁止文字というカテゴリが存在します。
Tairapromote 禁則処理とは何か ~文字組版の基本(前半)~
これらを調整するために、フォントサイズや間隔を調整してテキストを整える作業を行いました。

行間を広げると「る。」でも一応禁則処理は行えますが、動詞が途中で区切れるのもあまり良い印象を受けません。

さらに広げて「する。」まで入れます。しかしこれだと明らかに文字の間隔に空間ができてしまいます。

最終的には文字間隔を調整して1行に収めて処理を行いました。
普段、チラシやパンフレット、広告媒体で自然に見ている文章も、裏ではこうした調整が行われているのだと改めて実感します。
モノルビとグループルビ

左のカードは株式会社アニプレックスの「ビルディバイド」のカード、右のカードは株式会社コナミデジタルエンタテインメントの「遊☆戯☆王ラッシュデュエル」のカードです。
ビルディバイドでは1つの熟語の中心にルビを置くグループルビ、遊☆戯☆王ラッシュデュエルでは1文字ごとにルビを置くモノルビが採用されています。

レジェスタでは基本グループルビ、例外モノルビの振り方で制作しています。
レジェスタでは、基本的にグループルビを採用しています。理由は、当て字や特別な読み方に柔軟に対応できるためです。
例えば、冨樫義博先生の「HUNTER×HUNTER」に登場するヒソカの能力「ドッキリテクスチャー」を考えてみます。
「薄っぺらな嘘」と読む当て字が振られていますが、モノルビだとどの文字にどのルビを振ればいいのか悩ましくなります。こうしたケースにも対応しやすいのがグループルビの利点です。

こういったオリジナルの読み方以外でも、「煙草:タバコ」や「果汁:ジュース」といった単語ごとに読めない当て字は無数にあります。こうした理由からグループルビを採用しました。
ただし、グループルビであっても問題が出ることもあります。
例えば「使い手」という単語にルビを振る場合、送り仮名まで含めてグループルビを振ると不自然になります。
このようなケースでは、モノルビを用いて回避しています。


余談ですが、下記のタイトルは低年齢層も取り込む施策からか効果テキストにもすべてルビが振られています。
・遊☆戯☆王ラッシュデュエル (株式会社コナミデジタルエンタテインメント)
・ビルディバイド(株式会社アニプレックス)
・ONE PIECEカードゲーム(株式会社バンダイ)
・ポケモンカードゲーム(株式会社ポケモン)

実際にはadobeのインラインというソフトを使うとルビ関係は簡単になるらしいのですが、学習コストの関係で現状はIllustratorを駆使して対応しています。
最後までお読みいただきありがとうございました。