いつも『レジェンド・オブ・スターズ』を遊んでいただきありがとうございます。
先日公開された、Flat-工房様による紹介動画には、たくさんのコメント・ご意見・応援の言葉、厳しいご指摘まで、数多くの反応をいただきました。心より感謝申し上げます。
いただいたコメントはすべて目を通しており、今後のゲーム開発の参考として大切にさせていただきます。
この場をお借りして、コメントや視聴いただいた皆様、Flat-工房様にあらためてお礼申し上げます。
今回はその中でも特に目立っていた、「〇〇と〇〇を合わせたゲーム?」「〇〇っぽさを感じた」という声について、
『レジェスタ』のゲーム設計における意図や、既存TCGとの関係について開発側の視点からお話ししたいと思います。
既存TCGを参考にした部分はあるのか?
結論から申し上げると、『レジェンド・オブ・スターズ』は既存の大手TCGのルールを意図的に“組み合わせて”デザインしています。
その理由は、完全に新しいシステムだけで構成された“本当に見たことのないTCG”は、確かに創造できますが、それを商品として成立させるには非常に高いハードルがあるからです。
レジェスタは「既にカードゲームが好きな人が、新しいTCGを始めたくなったときに選べる“もう一つの選択肢”」として考えたゲームでした。そのうえで、全く新しい要素のゲームよりも、ある程度既存ゲームのルールに近いものを採用しました。
開発スタート時のに取り入れたかった要素「移動」「スピード」「ダウン」
とはいえ、「既存要素を組み合わせるだけ」では意味がありません。それなら元のゲームで遊べばいいからです。
レジェスタの開発初期、私が最初に考えたのは世界観でもキャラクターでもなく、「ゲームシステム」でした。
(詳しくは開発ブログ「過去のゲームとTCG制作を始めたきっかけ」をご覧ください)
中でも軸となるコンセプトが、「移動」「スピード」「ダウン」の3つ。
これらはレジェスタならではの要素であり、カード1枚に非常に多くの情報を詰め込む必要があります。



なぜ既存TCGのルールを取り入れるのか?
新規プレイヤーが『レジェスタ』をプレイする際に、完全に新しいルールだけで構成されていた場合、
「難しそう」「よくわからない」といった印象を与え、ゲームを始めるハードルが大きくなってしまいます。
レジェスタはステータスに最近の大手人気TCGにない要素が3つ追加されるため、ほかのルールは可能な限り既存TCGに即した形にデザインしました。
ゲームが破綻しないレベルで「ゲームバランスのとりやすいルール」「勝敗の分かりやすいルール」「カードプールの広げやすいルール」「ゲームが奥深くなるルール」といった要素を既存TCGから取り入れました。
既存のTCGを経験している方であれば、「この部分は〇〇と同じだな」と直感的に理解できることで、学習コストを抑えながらも新しい体験を提供できるように設計しようという意図があります。
ちなみに、コメント欄を拝見していて私の知らなかったTCGタイトルも多く登場していました。ゲームシステムのアイデアとしてそれらのゲームのwikiなどを確認しながら勉強させていただいております。
じゃあ、完全オリジナルの新TCGってどんなの?
ということで、私が京都行の新幹線の移動中にちょっと考えた、“真の新感覚(多分)なカードゲーム”の構想をラフにご紹介したいと思います。
■ ゲームタイトル:(仮)
ゲーム概要
- プレイ人数:2人~何人でも可
- デッキは2種類使用:
①「出来事カード」のみで構成されたデッキX枚
②「キャラクターカード」のみで構成されたデッキY枚
勝敗条件
- 勝利条件:自分のキャラクターが5回勝利する
- 敗北条件:キャラクターが5回敗北する、または「バトルコスト」が合計100点を超える
キャラクターカードの構成
- バトルコスト(0~30)
- パワー(勝負に使用)
- 特殊効果・イラスト
※バトルコストが高いほどパワーも高くなる設計
出来事カードの効果
- 「天」:勝者に恩恵を与える効果
- 「底」:敗者に影響を与える効果

■ ゲームの流れ(2人以上共通)
- 手札をZ枚になるようにキャラデッキから引く
- 手番プレイヤーが出来事デッキの一番上を表にして場に置く
- 両者はキャラクターカードを1枚裏向きで出す
- 同時公開 → パワーを比較 → 勝者を決定
- 勝者はキャラカードを縦に置き、敗者は横に置く
・引き分けた場合、お互いキャラクターカードを横にし、出来事カードはそのまま捨て札にする - 勝者に「天」、敗者に「底」の効果を処理
- キャラが縦5枚になったら勝利、または縦5枚のキャラクターのバトルコストの合計が100点を超えたら敗北
※3人以上でのプレイの場合、パワーが被った場合は勝負から除外される。
ゲームのリスクリターン
- 天と底の恩恵が大きいほど、勝ちたいためパワーの高いカードを出したくなる
- パワーの高いカードは勝ちやすいが、バトルポイントも高いため100点にならないよううまく弱いカードも通していく必要がある
- パワーの低いカードほど勝った時の恩恵が高い効果をつけやすい
ゲームの特徴
・天と底で影響を与えるプレイヤーは1人のため、何人でもプレイすることができる。10人でもプレイできるし、3人・5人といった奇数人数でもゲームルールをほとんど変えることなくプレイすることができる。
(複数人でプレイする場合、ゲーム体験がボードゲームの”ハゲタカのえじき”に近くなる)

・どれだけ負けていても逆転のチャンスがある。負けているときは基本相手のほうがバトルコストを多く使用しているはずのため、逆転がルール上起こしやすい
カードの効果は、「手札を入れ替える」「次のターンに勝ったらバトルコストを下げる」「次のターン自分はカードを5枚になるように引く」「相手がパワー1000以下のカードを出した時、相手のバトルポイントを+5する」など、カードデザインの広がりもある程度確保できそうです。
出来事カードはなくてもゲームプレイは成立するルールですが、「ここの勝負は勝ったほうが得(だからパワーの高いカードを出したい)」「ここの勝負はあまり影響が出ないから低いパワーのカードを処理したいが、できれば勝ちたい」といった、お互いの出したいパワーの基準を作ることができるため、あったほうがおもしろいと思います。
デッキが2種類、バトルコストの概念、何人でもゲーム破綻が起きずにプレイできるといった(自分の知る限りでは)新しいTCGになるのではないかなと思います。そしてゲームルールやカードデザインを調整してプレイすればそこそこ面白いカードゲームになるのではないかな?と思います。
完全新作TCGの“壁”
この構想だけを見ると、「なんだか面白そう」と思っていただけるかもしれません。
しかし現実として、既存のTCGとルールがかけ離れすぎているゲームは、最初の導入が非常に難しいです。
もし本格的にリリースするとなれば
- 人気IPとのタイアップ
- 大量のインフルエンサー案件
- アニメ化・漫画化などメディア展開
- 数千万円~億単位の広告・制作コスト
こういった大規模な体制が必要になる可能性が高いです。
あえて「似てる」と言わせる設計思想
『レジェンド・オブ・スターズ』は、既存TCGのプレイヤーにとって“懐かしくも新しい”体験を届けるために、あえて「どこか似ている」と思ってもらえるよう設計しています。
そのうえで、「移動」「スピード」「ダウン」といったオリジナルの軸を中心に、他にはないプレイフィールを提供できるように日々開発を進めています。
今後もいただいたご意見やご感想を元に、より良い作品づくりを目指してまいります。
引き続き『レジェンド・オブ・スターズ』をよろしくお願いいたします!