【開発ブログ】ゲームの面白さを生み出す「リスクとリターン」

対人ゲームの多くには「リスクとリターン」が存在します。

強力な行動には相応の危険が伴い、安全な行動では大きな成果を得にくい。このバランスがあるからこそ、プレイヤーは状況を見ながら行動を選び、相手との駆け引きを楽しむことができます。

今回はゲームにおけるリスクとリターンの関係と、それをレジェンド・オブ・スターズのゲームシステムやカードデザインへどのように取り入れているのかをご紹介します。

さまざまなゲームに存在するリスクとリターン

例えば格闘ゲームでは、相手に近づくほど攻撃を受ける危険が高まります。その一方で、自分の攻撃を相手に当てられる機会も増えていきます。

反対にガードを続けていれば、相手の攻撃を防ぎやすくなります。しかし守っているだけでは、自分から攻撃して相手を倒すというリターンを得ることはできません。

FPSなどの銃撃戦を扱うゲームでも、壁の裏に隠れていれば相手から撃たれるリスクを抑えられます。しかし隠れているだけでは相手を攻撃して倒すこともできません。勝つためにはどこかで壁から姿を出して照準を合わせる必要があります。

麻雀では自分が強い手を持っているときに危険牌を引いた場合、そのまま勝負を続けるのか、それとも放銃を避けるために降りるのかという選択が発生します。
危険を承知で押し切れば和了による大きなリターンを得られる可能性があります。一方で降りれば放銃のリスクは下がりますが、自分が和了できる可能性も低くなります。

このように多くの対人ゲームでは、基本的にリスクとリターンが比例するように作られています。

バランスを崩す手段がゲームを面白くする

ただしすべての行動が単純な比例関係にあるだけでは選択が分かりやすくなりすぎてしまいます。

そこで各ゲームには一時的に「ローリスク・ハイリターン」を作り出したり、相手へ「ハイリスク・ローリターン」を押し付けたりする手段が用意されています。
格闘ゲームであればガードを固めている相手を投げ技で崩すことができます。また、遠距離攻撃を使えば相手から離れた場所で攻撃できます。

FPSでは、壁の裏に隠れている相手へ手榴弾を投げることで、自分の姿を大きくさらさずに攻撃できます。

麻雀では、あえて捨て牌から予測されにくい待ちを作り、他家からの放銃を誘う戦術があります。

このような仕組みがあることで、単純に攻めるか守るかだけではなく相手の行動を予測した駆け引きが生まれます。

カードゲームも対人ゲームである以上、リスクとリターンは重要な設計要素です。レジェンド・オブ・スターズでも、さまざまな部分にこの考え方を取り入れています。

キャラクターの「位置」が生み出すリスク

レジェスタでは、キャラクターがアタックするためには前衛に移動しさらにアタック表示になる必要があります。

前衛にいるキャラクターは相手から狙われやすくなりますが、その分、相手のキャラクターを倒したり相手のライフへダメージを与えたりすることができます。つまり前衛はハイリスクハイリターンの場所なのです。

一方、後衛にいるキャラクターは、その前に別の自分のキャラクターがいれば基本的に相手から直接アタックされません。倒されるリスクを抑えられる代わりに、通常は後衛から相手へアタックすることもできません。

さらに、キャラクターは原則として後衛に出す必要があります。後衛が埋まっている状態では新しいキャラクターを手札から出せる場所がなくなってしまいます。

安全な後衛にキャラクターを残し続けることは防御面では有効です。しかし新しいキャラクターを展開できなくなるという別のリスクが発生します。

このようにレジェスタでは、キャラクターの強さだけではなく「どの位置にいるか」によってもリスクとリターンが変化します。

カードの能力で原則を変える

位置による基本的なルールがある中で、その原則へ変化を与えるカードも存在します。

例えば「クイック」を持つキャラクターは場に出てからすぐに前衛へ移動できます。通常よりも早く攻撃へ参加できるため、相手が準備を整える前にリターンを得られる可能性があります。

「弓兵」を持つキャラクターは本来であれば攻撃できない後衛からアタックできます。前衛に出る危険を避けながら、相手へ攻撃できる能力です。

ただし、こうした能力を持つカードだけで一方的に有利になるわけではありません。能力を持つ代わりにステータスやコストが調整されていたり特定のカードで対策できたりします。

手札にあるカードの組み合わせや現在の盤面からどのように自分のリスクを抑え、より大きなリターンを得るかを考えることがレジェスタの駆け引きの一つです。

ダウン値によって変わるカードの危険性

レジェスタにはもう一つ、リスクとリターンを明確に表すステータスがあります。それが「ダウン値」です。
レジェスタではキャラクターが戦闘などでダウンすると、そのキャラクターに設定されたダウン値と同じダメージをプレイヤーが受けます。

強力なキャラクターを場に出せば、盤面を大きく有利にできる可能性があります。しかしダウン値が高いキャラクターを倒されると、それだけ敗北へ近づいてしまいます。

そのため、ステータスや能力が強いキャラクターであってもダウン値が高ければ扱いには注意が必要です。

反対に能力を持たずステータスも低いキャラクターであっても、ダウン値が0であれば倒されたときにプレイヤーがダメージを受けません。相手の攻撃を受け止める壁として使うような役割を持たせることができます。

ダウン値は、カードの能力やステータスを変えずにリスクを調整できる要素です。その一方で、わずかな数値の違いがゲーム全体の勝敗へ影響するため、カードを調整するうえでは便利でありながら難しい要素でもあります。

リスクとリターンからゲームを見直す

ゲームを作る際には「このゲームのリスクとリターンはどこにあるのか」を整理することで、駆け引きの構造が見えやすくなります。

大きなリターンには相応のリスクがあるか。安全な選択ばかりが最も強い状態になっていないか。プレイヤーの工夫によってリスクを減らせる余地があるか。相手へリスクを押し付けたり、その狙いを妨害したりする手段があるか。

レジェスタではキャラクターの位置や表示形式、ダウン値、カード能力などを通して、このリスクとリターンを表現しています。ただ強いカードを使うだけではなく、どのタイミングで、どの位置から、どれだけの危険を受け入れて動くのか考えてデッキの構築やゲーム戦術を作っていくことができるようにしています。

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