レジェンド・オブ・スターズ開発の長谷川です。
2026年1月、レジェスタの発売からちょうど1年が経過しました。ブースターパック「Catch the Future!」発売後のスターター+ブースター複合環境をしっかり検証した結果、デッキに入れられる枚数を制限するリミットカードを導入の措置が必要と判断しました。
カードゲームは「強力」さが面白さの源でありつつ、行き過ぎると自由な構築と対話を奪います。開発に回ってみて初めて、「強力なカード」と「行き過ぎたカード」の境目を線引きする難しさを痛感しました。
今回は初の改定ということで、リミットカードの定義と基準を明確にし、対象カードの理由をお伝えします。
リミットカードの定義
リミットカードに指定されたカードはデッキに1枚までしか入れられません。
※通常は同名カードをデッキに最大3枚まで採用できます
これは{エレクトリスの粘弾体}のように「このカードはデッキに何枚入れても良い。」と書かれている場合でも1枚までとなります。
将来的に、デッキに1枚も入れられない、いわゆる「禁止カード」「殿堂カード」「BANカード」といった類のカードや、デッキに2枚まで入れられる「リミット2カード」「準リミットカード」といった定義を導入する可能性はありますが、現時点ではリミットカードのみを実装します。
リミットカードの基準
次の要素を複数満たし、環境に支配的かつコミュニティへの影響が高いカードを指定対象とします。
- カードパワーが極めて高いこと
- そのカードを対処する手段が少ないこと
- カードの属性を問わず、どんなデッキに入れても有用であること
- 戦場の場面を問わず、いつ使用しても有用であること
- そのカードを対処する手段の最適解が、同名カードを対戦相手も使用することになっていること
- 自身の能力によって、2枚目以降の同名カードにアクセスしやすいこと
- 低〜中コストのカード2枚で無限ループが成立すること
- 使用されたプレイヤーが著しく不快に感じるもの
- 相手の行動を大きく制限するもの
- 効果処理が過度に煩雑になるもの
リミットカード改訂 (2026/01/10)
- {森激術式-樹木創生} をリミットカードに指定

改定の背景
「Catch the Future!」以降、{大地の呼応者}{大地の波動者}を軸にエネルギーを伸ばすランプデッキ、除去と壁で序盤を耐え{闇夜の使者 ギルファエル}で主導権を取り返す闇コントロールデッキなど、幅広い構築が誕生しました。そうしたコントロール戦略と{森激術式-樹木創生}は非常にマッチし、以下の基準に抵触していると判断をしました。

- カードパワーが極めて高いこと
- そのカードを対処する手段が少ないこと
- カードの属性を問わず、どんなデッキに入れても有用であること
- 戦場の場面を問わず、いつ使用しても有用であること
- そのカードを対処する手段の最適解が、同名カードを対戦相手も使用することになっていること
- 自身の能力によって、2枚目以降の同名カードにアクセスしやすいこと
1. カードパワーが極めて高いこと
{森激術式-樹木創生}はスターターデッキ「DeepForest」に収録された7コストの大型エフェクトカードであり、同時期に発売した火・水・土にも7コストのエフェクトカードの属性サイクルとして収録されています。

7コストというカードのパワーは、劣勢の状況を逆転したり、優勢なゲームを終了させる強さを持っていて問題ない領域です。
この7コストサイクルの中で唯一、直接自分にアドバンテージを与えるカードが{森激術式-樹木創生} です。1枚のカードから合計6枚のカードアドバンテージを取ることができることは驚異的ではありますが、7コストのカードが与えるアドバンテージのインパクトとしては許容できる範囲だと考えています。
問題は手札に加えるだけでなく、そのうち3枚をリゲイン状態でエネルギーゾーンに置けてしまう点です。
これにより、3コスト分のカードを追加で使用できるため、コストパフォーマンスとしては4コスト分で6枚のカードアドバンテージを得ていることになります。本来の4コストのカード基準は、1枚から3枚、条件付きや劣勢時は3枚程度のアドバンテージが取れるパワーラインです。
{森激術式-樹木創生}はこのパワーバランスから大きく外れた、6枚ものアドバンテージを条件や戦場の状況に関係なく与えてしまいます。

更にエネルギーに3枚、手札に3枚カードが追加されたことにより、次のターンからは11マナ相当のエネルギーコストを、追加3枚のカードを使って盤面展開ができるため、手札アドバンテージだけでなくテンポアドバンテージも取れている点も、このカードのカードパワーが、7コストという基準をもってしても”高すぎる”パワーを持っている点です。
2. そのカードを対処する手段が少ないこと
レジェスタではエフェクトカードを相手が発動した際に、それに対処するように手札からカードを出すことはできません。
例えば{紅き悪魔との契約}に対して対処する場合、事前にスピード耐性をキャラクターにつけるなどの対策をしておく必要があります。

現カードプールで、{森激術式-樹木創生}を発動された時に、その効果自体を止める手段はありません。 必ず6枚のカードと300ライフの恩恵を与えてしまいます。
またゲームコンセプトとして、エネルギーゾーンのカードを破壊したり、手札のカードを破壊するようなカードも実装していません。
サポートカードの{溶岩の城塞}や、キャラクターカードの{雷雨の使者 ウォルザエル}といった場に残るカードは、場に残れば継続的に有利になる状況を作れる一方で、次のターンにサポートカードやキャラクターカードを破壊するカードを使うことで対処する猶予が生まれます。

そういった対処するカードも余地もない形で、{森激術式-樹木創生}はゲーム展開に大きく差を広げてしまいます。
さらにこのカードの対策として「アグロデッキを使用して使用される前に倒す」といった戦法も考えられますが、ひとたび7コストまで達成し{森激術式-樹木創生}を撃たれてしまうと、ライフを300回復されながら3コスト分の対処を行われてしまいます。このライフ回復がアグロデッキにとっては想定以上に重く、先細りしやすいアグロデッキにとってキルターンを伸ばされててしまうことは苦しいゲーム展開を強いられます。
3–4. カードの属性を問わず、どんなデッキに入れても有用であること/戦場の場面を問わず、いつ使用しても有用であること
火・水・土の術式サイクルと大きく違う点は、{森激術式-樹木創生}が圧倒的に汎用性が高く、状況を選ばずに使用できることです。

{炎激術式-灼來}はフィニッシャー級の力を手に入れますが、あらかじめ場にアタックできるキャラクターを用意しておく必要があります。また火属性キャラクターに限定しているため、デッキ構築にもある程度の制約が入ります。

{流激術式-海極挺里}はほとんどのカードをリセットしますが、自分の場に水属性キャラクターがいないと発動することができない制約があります。また手札に戻したカードを再展開することで対処することも可能です。

{轟岩術式-ギガグランド}も土属性デッキ出ないと自分のキャラクターも巻き込まれる可能性があり、またスピード耐性などを付与することであらかじめ対策しておくことも可能です。

他の術式サイクルは有効な条件や場面が限定される一方で、{森激術式-樹木創生}にはそういった制約がありません。場に木属性キャラクターやデッキに木属性カードを採用する必要もなく、場の状況がどのような状況でも有用に運用することができてしまいます。
これらは多様なデッキ構築を考える際に「とりあえず3枚入れるカード」としてコンセプトや種族・属性の縛りに関係なく採用されてしまう可能性が高いと考えています。
5. そのカードを対処する手段の最適解が、同名カードを対戦相手も使用することになっていること
{森激術式-樹木創生}は、上記の傾向から現時点のレジェスタでは対策が難しく、結果として対応手段が「自分も{森激術式-樹木創生}を使用する」となることが確認できました。
これは、本来コストの高いカードを入れる必要のないアグロデッキですら、{森激術式-樹木創生}を投入するデッキも現れ、これは環境をコントロールに大きく偏らせてしまっている一因となっていることは明白です。

6. 自身の能力によって、2枚目以降の同名カードにアクセスしやすいこと
レジェスタの能力調整の1つに、「そのカードが次の同名カードを持ってくることができない」というものがあります。
しかしこの能力調整は初期スターターデッキではあまり意識してデザインしていなかった調整内容です。
これはスターターパックの案内人サイクルが、自身の能力で同名の案内人をサーチできるが、ブースターパック「Catch the Future!」の{氷結の案内人}といったカードには、案内人種族を除いたサーチにテキストがアップデートされています。

このカードが場に出た時、デッキの上からカードを3枚見る。その中から、種族〈案内人〉以外の種族〈氷結〉であるキャラクターを2枚まで選び、公開し手札に加える。残りのカードを任意の順番でデッキの下に戻す。
また別のカードで、開発当時{虹霓の魔導士 ティレイグ}は場に出た時、手札に2枚目の{虹霓の魔導士 ティレイグ}がある場合、2枚・3枚目のティレイグを場にノーリスクで出すことができてしまっていました。
そのためテキストを「このカード名を除く」と追加することで、この誘発の連鎖を止める調整を行っています。

このカードが場に出た時、自分のエネルギーゾーンに火、水、木、光、闇属性のカードが全てある場合、以下から2つ選ぶ。
・ライフを500回復し、相手に500ダメージを与える。
・手札からこのカード名を除くエネルギーコスト5のカード1枚を公開し、エネルギーコストを支払わずプレイしても良い。
・自分の場の他のスピード5のキャラクターを1体選ぶ。ターン終了時まで、そのキャラクターはATK+500する。
{森激術式-樹木創生}は、カードを3枚引くことができるため、その3枚の中に{森激術式-樹木創生}があるとさらに次のターンも使用することができてしまいます。
仮に1どこの連鎖が発生すると、実質8コストで6ドロー、6エネルギー加速、600回復となり、これは事実上のゲームの勝利をほとんど決定させてしまいます。
以上の理由から、{森激術式-樹木創生}をリミットカードに指定します。
決定事項の補足
なぜ禁止カードにしないのか
{森激術式-樹木創生}は上記の通りレジェスタのオーバーパワーのカードであることは間違いありませんが、一方で使用した時の全能感・爽快感のある楽しいカードであることも間違いありません。
相手からしても強いカードである脅威ではあるものの、大きく盤面に影響を与えることもないため対戦相手の不快感も限定的です。
リミットカードに指定することで、別のカードでランプ戦法を取った際に誤ってエネルギーに{森激術式-樹木創生}が落ちてしまうリスクが高まり、{掘り起こし}といった別カードの手段が必要になること、その{掘り起こし}を引き込むための2枚目以降の{森激術式-樹木創生}が存在しなくなること、{森激術式-樹木創生}から2枚目の{森激術式-樹木創生}を引きに行くことがなくなることから、リミットカードでまずは環境の変化を確認します。
他の候補について
リミットカードの検討において、同じくスターターデッキ「DeepForest」に収録されている{神秘の森の煌めき}についてもリミットカード制定の検討を行いました。
このカードも、「4コストで3枚のカードを手に入れることができる」ことや、フラッシュタイミングで使用できること、属性関係なくデッキに入れることができることなど、{森激術式-樹木創生}同様リミットカード基準の1~6の要件を満たしているカードといえます。

しかし一方で、エネルギーゾーンに加速できる枚数は1枚にとどまります。これは他のレジェスタのカードと比べても、コストに対する加速幅は平均的で、ゲイン状態のためしっかりとエネルギーを消費しきります。
またデッキの多様性を確保する観点から、{森激術式-樹木創生}と同時に{神秘の森の煌めき}までリミットカードに指定し、ランプデッキの構築が困難になるほどの弱体化を望んではいません。
ランプデッキは{神秘の森の煌めき}をエネルギー加速の軸の1つに据えながら、上振れで{森激術式-樹木創生}ができる…そういったプランで生き残っていくことを期待しています。
よくある質問
- いつから適用されますか
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告知日以降の公式イベントと推奨ルールで適用します。
- カジュアル対戦でも従う必要はありますか
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推奨ですが、対戦相手と合意があれば従う必要はありません。
- 今後の見直しはありますか
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環境データとコミュニティの声を踏まえ、必要に応じて改定します。今回同様告知日はあらかじめ発表を行い、当日にSNS・ホームページで公開します。
プレイの自由度と楽しさ、そして健全な競技性のバランスを守るため導入に踏み切りました。
皆さんの対戦の結果や感想は開発にとって重要な材料となっています。引き続きご意見をお寄せください。

