『レジェンド・オブ・スターズ』には、可愛らしいキャラクターからドラゴン、ロボット、ホラー調の存在まで、さまざまな雰囲気のカードが登場します。




一見すると統一感がないようにも見えるかもしれません。しかし、この多様性は偶然生まれたものではなく、開発当初から意図して設計しています。
今回は、『レジェンド・オブ・スターズ』がどのような世界観を持つゲームなのか、なぜこの設定を採用したのか、そして世界観がカード制作やゲームシステムにどのような影響を与えているのかをご紹介します。
『レジェンド・オブ・スターズ』の世界観
『レジェンド・オブ・スターズ』の世界観を簡単に説明すると、さまざまな惑星がそれぞれ独自の文化や技術を発展させながら、ときには衝突し、ときには同盟を結びながら戦っていく物語です。
炎に覆われた惑星、水産資源に恵まれた惑星、豊富な鉱物資源を持つ惑星、深い森林が広がる惑星など、それぞれの星には異なる環境や文明が存在しています。
プレイヤーは、そうした惑星で暮らし、戦うキャラクター「レジェンド」たちのカードを率いて、盤面上で部隊を動かしながら相手と戦います。

あらゆるジャンルを受け入れられる世界観
この世界観を採用した大きな理由のひとつは、さまざまなジャンルのイラストやキャラクターを、違和感なくゲームの中へ取り入れられることです。
ポップで可愛らしいキャラクターであれば、その雰囲気に合った文化を持つ惑星や街を設定できます。
暗く恐ろしいキャラクターであれば、危険な環境や荒廃した都市、闇に包まれた惑星に住む存在として登場させることができます。


ドラゴン、ロボット、獣人、魔法使い、現代的な服装のキャラクターなども、それぞれに適した惑星や文明を用意することで、「このキャラクターも『レジェンド・オブ・スターズ』の世界に存在している」と認識してもらいやすくなります。
ひとつの大陸や時代だけを舞台にすると、登場させられるキャラクターのデザインには一定の制限が生まれまが、舞台を複数の惑星に広げることで、星ごとに文化や技術水準、服装、建築物、生物などを変えることができます。
異なるジャンルのキャラクターを受け入れながらそれぞれが暮らす場所を設定することで、ゲーム全体の世界観につなげられるようにしています。
「レジェスタ」という略称から考えたタイトル

ゲームタイトルを考える際には、「略したときに覚えやすく、呼びやすい言葉になるか」という点も意識しました。
日本では、長いゲームタイトルを3文字から4文字程度に略して呼ぶことが多くあります。
『ポケットモンスター』であれば「ポケモン」、『デュエル・マスターズ』であれば「デュエマ」といったように、略称がゲームの名前として定着する例も少なくありません。
そのため、タイトルを考える段階から、『レジェンド・オブ・スターズ』は「レジェスタ」と略して呼んでもらうことを想定していました。
「レジェンド」と「スターズ」という言葉から、複数の星を舞台に、そこで生きる英雄や人物たちが戦う物語を組み立てています。
先に世界観があってタイトルが決まったというよりも、「レジェスタ」という呼びやすい略称と、それに合う世界観を同時に考えながら現在の形へと整えていきました。
「何でも登場できる」ことのデメリット
多様なジャンルのキャラクターを登場させられる世界観にはデメリットもあります。
何でも登場させられるということは、ゲーム全体の統一感が薄くなり、作品の印象が曖昧になりやすいということでもあります。
マーケティングでは、商品を届けたいターゲット層を明確にし、その層に強く刺さる要素へ絞って商品を作ることがひとつの有効な戦略とされています。
例えば、ダイソーのカードゲーム『蟲神器』は、基本的に昆虫をモチーフとしたカードで構成されています。

『甲虫王者ムシキング』も、作品の中心にいるのは昆虫です。作品の性質上、突然まったく関係のない美少女やロボットを中心キャラクターとして登場させることは難しいでしょう。

しかし、テーマが昆虫に統一されているからこそ、昆虫が好きな人にとっては、ゲーム全体が魅力的に映ります。
「昆虫が好きだから遊んでみたい」という明確な入り口があり、どのようなゲームなのかも一目で伝わります。
ほかのカードゲームでも、作品やテーマを絞ることで、ターゲットを明確にしている例があります。
・IPによって絞る作品:『ONE PIECEカードゲーム』『ディズニー・ロルカナ』など
・時代や世界観によって絞る作品:『三国志大戦』など
・登場する生物やジャンルによって絞る作品:『アニマルカードゲーム』など
こうした作品と比較すると『レジェンド・オブ・スターズ』の世界観設計は、マーケティングの観点では必ずしも効率的とはいえません。
可愛いキャラクターが好きな人向けなのか、ドラゴンが好きな人向けなのか、ホラーやロボットが好きな人向けなのかが、ひと目では分かりにくくなるからです。
特定のジャンルへ絞らないことによって、ゲームを届けたい相手がぼやけてしまう危険があります。
それでも多様な世界観を選んだ理由
しかし『レジェンド・オブ・スターズ』では、開発当初から、多様なジャンルを受け入れられる世界観を採用しています。
その理由は、さまざまなクリエイターの方や企業と、カードを通して新しい仕事や作品を作りやすくなるという意図があります。
同じイラストレーターという職業であっても、得意な表現や描きたい題材は大きく異なります「可愛い女性キャラクター」「格好良い男性キャラクター」「ホラーやダークファンタジー」「明るくポップな世界観」「ドラゴンやモンスター」「ロボットや機械」「背景や建築物」。
ゲーム制作の仕事では、クリエイター自身の得意分野とは異なる題材を描かなければならない場合もあります。
可愛い動物を描くことが得意な方が、仕事として、地面を這い回るゾンビを描かなければならないこともあるでしょう。

特にテレビゲームでは、作品全体の世界観や画風を統一するためのイメージボードという資料を作り、そのルールに合わせてキャラクターや背景を制作する方法が一般的です。
オープンワールドゲームなどでは、場所によってキャラクターのデザインや世界の雰囲気が大きく違いすぎるとプレイヤーの没入感を損なう可能性があります。
そのため作品全体でデザインの方向性を揃えることには大きな意味があります。

一方で、カードゲームは、テレビゲームほど厳密に世界観や画風を統一しなくても成立しやすい媒体です。
可愛い動物と恐ろしいゾンビが同じデッキに入っていても、ゲームとして遊ぶことができます。可愛い動物のカードだけを集めたファンデッキを作ることもできます。
どのカードを組み合わせ、どのようなデッキを作るのかは、プレイヤー自身が自由に選択できます。
この自由度は、さまざまなクリエイターの個性を受け入れられるカードゲームならではの特徴だと考えています。
クリエイターの個性をカードに残す
『レジェンド・オブ・スターズ』では、イラストレーターの方へ制作を依頼する際に、「女の子」「ドラゴン」といった大まかな題材を指定することはありますが、それ以外については、できるだけ細かく指示しすぎないようにしています。
キャラクターの服装、表情、装飾、背景、世界の雰囲気などは、それぞれのクリエイターが得意とする表現を活かしていただくことを重視しています。
作品全体の画風に合わせて個性を抑えてもらうよりも、クリエイター自身の絵柄や描きたい世界観を活かして制作してもらった方が、完成した一枚のイラストが活き活きとしたものになると考えているためです。






カードゲームでは、それぞれのイラストが一枚のカードとして独立して存在します。
ゲーム全体を見たときには異なる画風が混在していても、一枚ずつ見れば、それぞれのカードに作者の魅力や世界観が込められています。
『レジェンド・オブ・スターズ』では、ゲーム全体を均一に整えることよりも、一枚一枚のカードにクリエイターの個性が残ることを優先しています。
統一感よりも「カオス感」を楽しみたい
これは個人的な感覚でもありますが、すべてがある一定のモチーフカラーで統一された作品よりも、さまざまな色やデザインが混在している表現やゲームが好きです。
言葉にするのが難しい部分ではありますが、さまざまな魔物を配置し、育てながら勇者たちを倒していく『勇者のくせになまいきだ。』、日常にあるあらゆる物体を巻き込みながら塊を大きくしていく『塊魂』、異なる作品やジャンルのキャラクターをひとつの舞台で戦わせる『大乱闘スマッシュブラザーズ』などが、その感覚に近い作品です。



これらの作品には、ひとつの要素だけで整えられた統一感とは異なる、さまざまなものが集まることによって生まれる面白さがあります。
『レジェンド・オブ・スターズ』でも、整然と統一された世界より、異なるキャラクターや文化、色、能力が混ざり合う「カオス感」をカードゲームとして表現したいと考えています。
世界観とデッキ構築の自由度
この考え方は、イラストや世界観だけでなく、ゲームシステムにも反映されています。
『レジェンド・オブ・スターズ』では、複数の属性を混ぜても、基本的にはデッキとして成立するように設計しています。
火、水、木、土、光、闇といった異なる属性のカードを組み合わせ、自分の使いたいカードを優先したデッキを作ることができます。一方で、ひとつの属性に統一し、属性同士のシナジーを活かしたデッキを作ることもできます。
ゲーム側から正解をひとつに限定するのではなく、どのカードを選び、どのような組み合わせを作るのかを、プレイヤー自身が自由に決められるゲームにしたいと考えています。

世界観やイラストの多様性も、属性を自由に組み合わせられるシステムも「自分の好きなものを使って、自分だけのデッキを作る」という同じ設計思想から生まれています。
多様性の中でも登場させないカード
『レジェンド・オブ・スターズ』では、多様なジャンルやカオス感を重視していますが、どのような表現でも無条件に採用しているわけではありません。ゲーム内に登場させないと決めているモチーフや表現もあります。
例えば、ゴキブリや、過度に現実的な流血表現など、グロテスクさや生理的な不快感を強く与えやすいものは、基本的に登場させない方針です。
カードはゲーム中に見るだけでなく、購入後はプレイヤーの手元や自宅に残るものです。カードを持っていることや、部屋の中に置いてあること自体を「嫌だ」と感じやすいモチーフについては、採用を避けるようにしています。
また、蜘蛛恐怖症(アラクノフォビア)を想起させやすいクモの表現や、集合体恐怖症(トライポフォビア)を想起させやすい細かな穴や粒が密集した表現についても、原則として避けています。
もちろん、恐怖や不快感を覚える対象には個人差があり、あらゆる恐怖症や苦手なものを完全に避けることはできません。すべてを対象にすると、事実上コンテンツというものは何も作ることができません。
そのため比較的強い不快感を与えやすい表現について一定の基準を設け、ゲームとして表現できる範囲を判断しています。
自由で多様なゲームを目指しながらも、多くの人が安心してカードを手に取れるよう必要な線引きや配慮を行っています。
自分の「好き」を表現できるカードゲームへ
『レジェンド・オブ・スターズ』の世界には、さまざまな惑星があり、異なる文化や技術を持つキャラクターたちが暮らしています。
この世界観は多様なキャラクターを登場させるためだけの設定ではありません。
クリエイターが自身の得意な表現を活かし、プレイヤーが自分の好きなカードを自由に選べるようにするための土台でもあります。
統一感を優先するのではなく、さまざまな絵柄、モチーフ、属性、戦術が混ざり合うことを楽しむ。
そして、その中から自分の好きなものを見つけ、自分だけのデッキや遊び方を作っていく。
これからも、多くの人が手に取って遊ぶことができ、それぞれの「好き」をカードやデッキとして表現できるゲームを目指して、『レジェンド・オブ・スターズ』を制作していきます。


